2006年12月
変化が現れた。
首の腫れの下にもう1個、腫れが増えていた。
無駄だと思いながら主治医にその事を告げ、穿刺をするが何も分からず。
しかし僕自身、何も対策をしていないわけではなかった。
退院後、片っ端からネットや本で何かヒントはないかと探し続けていた。
大して良い情報は見つからなかったが、ネットサーフィンしていたらある書籍に興味を持った。
「医者がすすめる専門病院」
この書籍のネーミングに引かれただけだが、ちょっと中身を見てみたい。
しかしその辺の本屋にはどこにも置いていなかったので見ることができない。
内容も分からずネットで買うのはかなり抵抗があった。
しかも3000円ぐらいするので決して安くはない。が、役に立てば安いものだ。
無論、その反対も然りだが、イチかバチかネットで買うことにした。
この書籍の購入は結果的に大成功となる。
このリンパ腫が悪性と仮定して、愛知県内でこの種類の病気を扱った経験値が一番多く、全国的にも名の通った権威ある教授が在籍されている病院の事をこの本のおかげで知った。
その病院は家からそんなに遠くはなく、今通院している大学病院より距離的には近い。
欠点は、会社とは真逆の方向にあるので、もし通院となったら今よりさらに面倒なことだ。
それよりも、転院を考えるのであれば主治医に申し出なければならない。
いわゆるセカンドオピニオンである。
が、これを言うのはちょっと言い辛いところがある。
アメリカでは当たり前のように使われているみたいだが、日本では遅れているようだ。(当時は)
文化や性質の違いであろう。
今の主治医は結果を出せていないが、いろいろと親身になってくれた優しい先生である。
そんな先生に、別の病院で検査をしたい、というのは言い換えれば、あんたダメと言っているようなもので、その医者の誇りや経験、今までの誠意を踏み躙られ、裏切られたと捉えられるのではないかと。
ましてやその主治医は教授という位の方だけになおさらだ。
しかし自分の命がかかっているかもしれないこの局面で、情に流されるわけにはいかない。
奇妙な罪悪感を持ちながらも勇気を出してセカンドオピニオンを申し出た。
意外にも心地よく受け入れてくれた。
主治医はセカンドオピニオンに肯定的な方であった。
僕が希望を出した病院とその教授宛てに紹介状を書いてくれた。
この時ほど主治医に感謝したことはない。
この病院ともこれでオサラバかと思うと寂しいもんだ。
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