2007年7月
5クール目。
ノイアップ注は金、土だけの2回だけになった。
今までの経過から1回減らしても良いという判断をされた。
1回減るだけでもその分、通勤への支障が減るので非常に助かる。
この頃になると髪の毛は半分ぐらい抜け落ちてて、まるで爺さんみたいな頭になっていた。
このまま外に出るのはさすがに目立つので、外出時は頭にタオルを巻いている。
頭にタオルを巻いた状態で会社も出勤していた。(上長には許可をとってある)
ニット帽は暑苦しいのでかぶりたくないのです。
最近、なぜか後頭部にしばしば激痛がはしる。ピシピシ!っと。
最初は大したことない痛さだったが、日に日に痛みが強くなってきた。
寝ても覚めてもしばしば痛みが走る。
そして腕の血管も痛い。
度重なる抗がん剤によって血管が傷んでいるのであろう。
前までは抗がん剤投与の時だけ痛かったが、最近はそんなん関係なく痛い。
なるべく痛みが分散するように左右の腕を交互に抗がん剤投与してきたが、既に両腕とも痛い。
凄く痛い!というわけではないが、少し「しかめっ面」になるほどの痛みだ。
会社で仕事をしてても容赦なく痛みはやってくる。
これまであまり記述してこなかったが、この抗がん剤治療は通院治療です。
普段通りの生活を送りながら抗がん剤投与の日だけ病院にきて、3時間ぐらいで終わって家に帰るスタイルです。
抗がん剤投与の日とその翌日だけ会社を休んでますが、それ以外は普通に出勤してます。
この後頭部の痛みと血管痛は家の中で痛くなる分にはまだいいが、仕事中にも痛みだすので手が止まってしまい、ちょいと困りもんでした。
一番嫌だったのは運転中の痛みです。
車通勤だったのでその最中に痛みだす時もありました。
しかし、ハンドル操作を誤るほどの痛みではないので大事には至りません。
こんな状態でも抗がん剤のスケジュールは絶対だ。
いつも通り、抗がん剤の前にO先生の診察である。
気持ち的にやつれた僕を一目見てO先生は「大丈夫?さすがに大分疲れてますね」と心配してくれた。
そう、この頃の僕は抗がん剤のせいで精神的に相当参っていたである。
以前は抗がん剤の副作用「夜通しの12時間吐き気」がたまらなく嫌なだけだったが、先月中ごろ辺りからもっとエスカレートしていた。
病院の玄関をくぐった瞬間にくる病院独特なあの匂い、院内の景色、医療器具、抗がん剤の入ったあの透明な袋、抗がん剤を打ち終えた後のあの気だるい感じなど、もう何もかもが嫌でたまらない。
そこへこの原因不明の後頭部の痛みと、抗がん剤による腕の血管の痛みである。
僕はかなり暗ーい顔をしていたに違いない。(汗)
後頭部の痛みの原因は精神的苦痛からくる「後頭神経痛」であるとO先生から告げられた。
・・・なんと、この後頭部の痛みの正体は神経痛で、しかも精神的からきていた?
要するに、抗がん剤がトラウマになり過ぎて、精神的な拒否反応から発生している痛みということだ。
ちょっと意外でした。
ストレスだけの問題で身体的な痛みを伴うなんて。
今思えば、この時の自分は「うつ」だったかもしれません。
後頭神経痛を治す薬は無いとの事。根源は精神的なものだから、悩みの大元である抗がん剤が終わらない限り治らない。
一応、精神安定剤と、痛みを和らげるためロキソニンは出してくれた。それでやり過ごすことに。
(しかし残念ながらこれらの薬は全く効果を感じなかった)
とりあえず今から5クール目の抗がん剤投与の時間だ。
嫌だ嫌だと思いながらも、やらなければ死神がやってくる。
そんなストレスを抱えてはいるが、一筋の光明は見えていた。
そう、次のクールで抗がん剤が終わるからだ。
「今月含めてあと2か月で解放される」
ゴールは近いと考えれば励みになる。
抗がん剤を終えても家に帰れば吐き気と痛みが待っている。
【嫌々ランキング】
1.吐き気
2.後頭神経痛
3.腕の血管痛
吐き気は翌日には消えるが、後頭部の痛みはずっと続く。
夜中に何度も目が覚めるのか・・・と思うとさらに精神的苦痛になるのでなるべく考えないようにしていた。
2007年8月
6クール目。
ついに念願の最後のクールだ。やっとここまで来たかという気持ちで非常に嬉しい。
ノイアップ注も土曜だけになった。
これで普通に通勤できるので助かる。
後頭神経痛はまだ続いているが、長く続いた痛みに慣れたせいか、抗がん剤投与が終わりに近づいたせいか、痛さは先月よりちょっと弱まった感じだ。
O先生から、ここまでよく頑張りましたと労いの言葉をいただいた。
ほんとに頑張ったなーと自分でもしみじみ思ったりする。
ここまで頑張れたのはカミさんはじめ、O先生や看護婦、親族や会社の連中など、周囲のフォローがあればこそ。感謝感謝です。
なんだかもう治ったかのような勢いだが、この一か月であと2回も抗がん剤をうたねばならないし、最終的にはPET-CTで検査しなければ結果は分かりません。
結果が悪ければ、抗がん剤投与は追加となる。
それは絶対嫌だー!
この6クール目で確実に終わらせたい!という気持ちでいっぱいだった。
これで最後だこれで最後だ、と何十回も思いながらも吐き気と痛みに耐えて6クール全て終了!
抗がん剤の点滴が外れた瞬間、「終わった!」という何とも嬉しい悲鳴が僕の頭の中に木霊した。
しかし、僕の体からがん細胞が消えたかを確認するため、再び、PET-CT検査を受けに行かねばならない。
これで問題なければ晴れて卒業なわけだが、まだそこまで考えず、とりあえず、まずはとりあえず6クールを全部終えた事の達成感に浸りたい僕であった。
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